エンターテイメント建築の手練

世界の建築事務所vol.06

ヘッツェル・デザインを主宰するブラニスラフ・ヘッツェルは、セルビア共和国のベオグラード大学に学び、UCLAで建築のマスターを取得。卒業後ランドマーク・エンターテイメント・グループ社入社し、娯楽系の各種のプロジェクトを多数経験してデザイン・ディレクターになっている。その後ユニバーサル・スタジオ・デザインやパラマウント映画のコンサルタントをし、2001年にヘッツェル・デザインを設立した。
昨年完成した「北京航空&宇宙博物館」(1)は楽しいエンターテイメント性を十分発揮した作品だ。建物は北京郊外にある「北京未来都市」(2)という進行中の巨大な都市計画地にある。実はこの「北京未来都市」も彼らのプロジェクトであり、現在第1期が進行中だ。「博物館」には18種ものインタラクティブ・エキジビションをはじめ、3つのシアター、子供宇宙飛行士養成センターなどを含んでいる。
「北京未来都市」は東西に長い楕円形都市で、高密度な集合住宅群をはじめ文化的施設群、アウトレット店舗、エンターテイメント施設、飲食店舗など、およそ人間活動のすべてを含む空間が完成する予定だ。また「未来都市展示スペース」(3)は新しく完成したセールス・センターで、「北京未来都市」開発に関わる潜在的なバイヤーやテナントのショーケースとなっている。
その他四川省に完成した「成都無形文化店舗コンプレックス」(4)、ハリウッドの入口に建った「ラグジュアリーな「LAバートン・ウェイ8500」(5)、ラスベガスの入口にオープンした同地のビーコンとなっている「ザ・リンク&ヴォルテックス・バー」(6)など、躍動感あふれるダイナミズムは圧巻のデザインだ。その他にも「北京アート・シティ・ミュージアム」(7)、「ドウディアン」(8)(ホテル&アパート)、「北京ライブ」(9)(ミュージアム&シアター)などが進行中だ。
ともあれヘッツェル・デザインはハリウッド・スタイル・エンターテイメントと、ハイエンド・コンテンポラリー・デザイン&建築とのギャップを埋めるべく活動しているフル・サービスの会社。世界的な経験、アメリカン・ノウハウ、ヨーロッパ・スタイルをミックスして、最高品質のイノベイティブかつシナジェティック(相乗効果的)なデザイン・ワークスを生み出している。

文:淵上 正幸(建築ジャーナリスト)

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1.北京航空&宇宙博物館

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2.北京未来都市

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3.未来都市展示スペース

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4.成都無形文化店舗コンプレックス

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5.LAバートン・ウェイ8500

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6.ザ・リンク&ヴォルテックス・バー

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7.北京アート・シティ・ミュージアム

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8.ドウディアン

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9.北京ライブ