公園の緑と一体化した南米の集合住宅タワー
南米エクアドルの首都キトに、話題の米国建築家ビヤルケ・インゲルスがデザインした「イコン集合住宅タワー」が完成した。建物はキトのカロリーナ公園近くにできた高層ビルで、インゲルス初の南米建築だ。カロリーナ公園と道路越しに立つ32階建ての建物は、ファサードがカスケード状になったバルコニーが特徴の建物。キトでは最高のタワーである。
高さ133mの高層ビルは特異な外観で、ファサードは、現地の樹木や草花を植えたコンクリート・ボックス群で覆われている。時間の経過に連れてグリーンが生育し、カロリーナ公園の緑との一体化を目指している。
彼はキトのアイコニックな性質、すなわち地球上で最も生物多様性のある国のひとつであり、人間や植物にとってはパーフェクトな季節がある赤道直下の国という条件を、垂直的なデザインに変換したという。
「イコン集合住宅」は延床面積が55,000m2もあり、220戸のアパート、5店舗の商業施設、36社のオフィスが入居している。住戸、オフィス、商業施設に加えて、パブリック・プラザ、ショップ、野菜ガーデンが併設されている。その他のアメニティとしては屋上プール&テラス、スポーツ&スパ施設、ボーリング場、ミュージック・ルームなどがあり、同市における先端的都市生活を享受できる施設となっている。
2024年10月
文:淵上 正幸(建築ジャーナリスト)
Iqon Residential Tower (Quito, Ecuador)
Design : Bjarke Ingels
Photos : BICUBIK / DJI